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歯を失ってしまった場合の治療

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歯を失ってしまった場合には…

むし歯や歯周病などの歯の病気で歯を失ってしまう方もいますが、最近では「歯根破折」という歯の根の部分が割れたりヒビが入ったりしたことが原因で歯を失ってしまう人も増えてきています。

歯を失ってしまうようなことにならないように、早期の治療や日ごろの予防に取り組んで欲しいとは思いますが、もし歯を失ってしまった場合には何らかの対処をする必要があります。

歯を失った場合の4つの選択肢

では、歯を失ってしまった場合にはどのような治療の選択肢があるのでしょうか?

選択肢1:ブリッジ

失ってしまった歯の両隣の歯を使って、失った歯の部分に橋をかけるように被せ物を入れる治療法です。

一般的に、見た目や使用感の違和感がほとんどないことがメリットと言われます。一方で、ブリッジの土台となる失った歯の両隣の歯をあえて削らなければならなくなります。両隣の歯が健康な自分の歯であれば、あえて削るのは避けたいものです。

また、これは経験則のお話になりますが、長期の経過を観ていると、ブリッジを入れている人のほうが他の選択肢を選んでいる人たちよりも、残りの歯を失ってしまうリスクが高い印象があります。

失ってしまった1本の歯をブリッジにするところから、お口の中全体が悪くなるリスクが高くなっているとも言えます。そのため、お口の中全体の状態を考えながら検討する選択肢のひとつではありますが、できれば避けたい選択肢と考えています。

選択肢2:入れ歯

失った歯を補うための人工歯(義歯)をバネや留め具で固定する治療法です。ご自身の口の中に合うように調整することができ、日ごろの管理も難しくありません。また、自費治療も含めると選択肢がたくさんあります。

一方で、入れ歯に対する印象が良くない人も多いようです。痛い、噛めない、しゃべりづらい、外れてしまう、臭いが気になる…など、これまでに患者さんから聞いたことがある入れ歯に関する不具合や悩みをあげると、かなりの数が出てきます。

ただ、ここでよく考えてみて欲しいことがあります。それは、入れ歯というのは自分の歯ではないということです。

たとえば、もし義足をつけることになったとしたら、いきなり自分の足のように歩くことなど不可能だというのは、容易に想像できると思います。パラリンピックに出場しているアスリートだって、初めは義足での生活に慣れるようにリハビリをして、今の姿があるはずです。

義歯もそれと同じことなのですから、まずは入れ歯を口の中に入れることに慣れることから始めていかないと、上手に使えるようにはなりません。

特に初めて入れ歯を使う方は、食べ物をかむときには使用せず、口の中に異物が入る感覚や着脱に慣れるところから始めていかないといけません。

これは、言わばお口の機能回復のためのリハビリです。リハビリ期間中に無理に噛もうとすれば、違和感が強くなって当然です。つまり、入れ歯に慣れる前から自分の歯と同じように使おうとするから問題が起こるわけです。

入れ歯を使わないと残りの歯にかかる負担が大きくなるので、入れ歯はきちんと使って欲しいものです。なので、作った入れ歯を不便さや違和感を理由に使わなくなってしまうことがないように、製作技術はもちろん、入れ歯を使うことに慣れるサポートも重視しています。

選択肢3:インプラント

歯の根の代わりになるチタン製の人工歯根を入れ、その上に人工の歯を被せる治療法です。周囲の歯を削る必要がないため、周りの歯への負担が少ないことが大きなメリットです。

残っている他の歯への負担を軽くするという視点で考えると、非常に優れた治療法であるのは確かです。しかしながら、骨の状態や病気で通院されている場合などにはインプラント治療ができないケースもあり、すべての人に行える治療ではありません。

また、歯周病の治療が済んでいて、ご自身でプラークコントロールがある程度できている人でないと、インプラントを入れた後にトラブルが起こることもあるため、お口の中の全体の状態を考えながら検討したい治療法です。

選択肢4:そのままにする

4つ目の選択肢としてお伝えしたいのは、歯を失った部分にあえて何も人工物を入れずにそのままにするということです。

一般的には、「失ってしまった部分を補うべき」と言われています。歯の機能を回復することはもちろん、周りにある健康な歯にも悪い影響が出る可能性があるので、失ってしまった歯を補う治療をしたほうが良いという考え方です。

また、失ってしまった歯を補う治療をきちんと受けている人のほうが、歯を失ったままにしている人よりも健康寿命がながく、QOL(生活の質)も高いと一般的には言われています。

確かにそれはそのとおりですし、私たちも基本的にはその考えに異論はありません。しかしながら、「絶対に入れなきゃダメ」という考え方は違うと思っています。

その昔、一世を風靡した「きんさん・ぎんさん」という姉妹がいましたが、実はきんさんは歯が1本もないという人でした。別に歯が1本もなくてもあれだけ健康に長生きをされて、そしていつもニコニコ生活をしていましたし、100歳まで刺身も食べていました。

そのような事実を考えると、絶対に歯を入れなきゃいけないということでもないし、失った歯を補う治療が本当に必要なのか?ということをよく考えてみるべきです。

もちろん、状態によって歯を入れないといけないという場合もあるわけですが、少なくとも歯を入れないリスクを理解した上であえて入れないという選択肢があるということは頭に入れながら、治療に臨むべきだと考えています。

どれが良いかは状況次第

このように、歯を失ってしまった場合の治療には、複数の選択肢があります。そして、その複数の選択肢の中でどれがベストな選択となりうるのかは、その人の状況によって変わります。

そのため、当院ではさまざまな検査で確認したリスクやお口の中全体の状況、その人の生活習慣、将来の予測などを総合的に考えて、お1人お1人の状態に合ったベストな選択肢を一緒に相談しながら考えていきます。

治療に関するご希望やこれからの生活に対するご希望などを何でもお話いただいて、ご自身の希望する姿にできるだけ近づけていけるようにサポートしてまいります。

ただし、失った歯を補う治療は、どれをとっても「人工物」を身体に入れていることには違いありません。なので、いきなりかたいものを何でも噛めるようになるようなことは難しいですし、お口の機能を回復させるリハビリが必要だということを頭に入れておいてください。

養生しながらできるだけ長く自分の歯を使っていくことができるように、人工物でも上手に歯の機能を保っていくことができるように、ベストな選択肢を見つけていきましょう。

そして、できればこんなことを考えなくて済むように、これ以上は1本も歯を失うことがないようにすることにも、一緒に努力していきましょう。