小児歯科
大人の結果は子どもの頃に…
大人になってから、歯のトラブルに悩む人たちがたくさんいます。では、その原因はいったいどこにあるのか?と言えば、実は子どもの頃からの過ごし方にあったりします。
たとえば、歯医者がキライいという人。子どもの頃に歯医者さんで怖い思いをした、イヤな経験をしたことが原因で、大人になっても歯医者がキライという人がたくさんいます。
それが理由で、本当は悪いところに気づいているけど歯医者さんに行くことができず、いよいよどうしようのなくなって歯医者さんを訪れたときにはもう手遅れ。歯を抜くしかなくなってしまっているという人たちをたくさん見てきました。
これはひとつの例ですが、子どもの頃から「歯とお口の健康を守る習慣」を持つことができるかどうかで、大人になってからの結果が大きく変わってきます。言い換えると、大人になってから起こるトラブルの根源は、子どもの頃の過ごし方や習慣にあるということです。
まずは、そのことを保護者の方に理解していただきたいのです。
お子さんの治療で大事なこと
このようなことを考えたときに、お子さんの治療で最も大事なことは「歯医者さんをキライにさせないこと」です。ですから、当院ではお子さんに対して「まずは私たちと仲良くなりましょう!」というスタンスで接しています。
お子さんの立場になって考えてみれば分かることですが、歯医者さんという知らない場所に連れて来られて、知らない人たちが器具を持って迫ってくるというのは、すごく怖いことです。まずは、そんな知らない場所に来ることができたことを褒めてあげるべきです。
そして、歯医者さんに来る都度、怖いかもしれないのにがんばって来てくれたこと、上手にできたことを褒めてあげたいのです。もちろん、嫌がるお子さんをその気にさせて歯医者さんに連れてきてくれている保護者の方も、賞賛に値すると思っています。
そうやって何回か歯医者さんに通っていくうちに、お子さん自身も「ここは怖くない」「ここにいる人は自分に危害を加えたりしない」と理解することができるようになるので、自主的に歯医者さんへ行こうとしてくれるようになります。
このような治療方針なので、当然お子さんを押さえつけて治療をするようなことはしません。きっとあなたも嫌がるのを無理やり押さえつけられて治療をされたら、もう二度とその場所には行きたくないと思うはずです。
自分がされたらイヤなことを相手にもしないこと。人として当たり前のことですが、そういう当たり前のことをきちんとやることでお子さんとの信頼関係を築き上げていくことが、小児治療で最も大事なことだと考えています。
押さえつけてでも早く治療して欲しいという保護者の方には、申し訳ありませんが当院はお役に立てません。
将来のリスクを
下げるために…
小児治療の最大の目的は、将来のリスクを下げることにあります。
歯の治療というのは、「治った」ということがないものです。なぜなら、削ってしまった歯を健康な元の状態に戻すことはできないからです。見た目や噛めるように修復することはできますが、そこには詰め物や被せ物という「人工物」が入ることになります。
逆に言えば、生えてきたばかりの永久歯を一度もむし歯にすることなく一生過ごすことができれば、それが本当の意味での「健康」と言えます。
先ほどもお話したように、大人になってから歯とお口のトラブルに悩まされる根本的な原因は、子どもの頃の過ごし方や習慣にあります。ですから、幼いころから『正しい習慣』を身につけることができるように、私たちと人三脚で取り組んでいきましょう!
お子さんの歯並びが
気になる方へ
お子さんの将来リスクを下げるという意味では、歯並びの問題も見逃すことはできません。
歯並びが良くないと、それがコンプレックスになって人前で笑うことができなくなったりすることがあるのはもちろん、呼吸や咀嚼(食べ物を噛み砕くこと)など口の本来の機能を発揮できません。
また、日ごろの歯みがきのときに歯ブラシが行き届かずにむし歯などの歯の病気のリスクも高くなります。
ですから、歯並びの改善もお子さんのために考えてあげたいことのひとつです。ただし、お子さんはこれから成長をしていくので、その発育の過程を上手に活用していけば、大人よりもスムーズにきれいな歯並びへと誘導していけることも多いものです。
また、専門的な治療を行わなくても、姿勢の改善や舌の位置の改善、筋肉のコントロールなど、幼いお子さんでも日常的に取り組めることがたくさんあります。
お子さんの歯並びについて気になることがあれば、気軽にご相談ください。
今までよりも
“これから”です!
来院される患者さんからよく聞くことのひとつに、歯医者さんに行ったときに保護者の方が歯科医師から叱られた、怒られたという話です。
お子さんは自分で自分の歯のお手入れをカンペキにすることはできないので、お子さんの歯とお口の健康を守るためには保護者の方の力を借りる必要があるのは確かです。
そのため、お子さんがむし歯になってしまった要因のひとつとして、保護者の方の日常的なお手入れが足りないと言いたい歯科医師の気持ちも分からないではありません。
でも、そんなふうに叱られたり怒られたりしなくても、保護者の方は十分大きな責任を感じているはず。だから、私たちは保護者の方を叱るつもりも怒るつもりもありません。
それに、そもそもお子さんの正しいケアのやり方が分からなかったとすれば、上手にケアできていなくても仕方がないことです。そんなに大事なことなのに、積極的に教えてこなかった私たちにも責任はあります。
だから、まずはお子さんがむし歯になってしまった原因を理解して、その改善を図りましょう。そして、正しいケアの方法を覚えて、これからはもう二度とお子さんの口の中にむし歯をつくらないように努力していきましょう!